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【便秘を改善する食事】腸を動かすためには温かい朝食がおすすめ

【便秘を改善する食事】腸を動かすためには温かい朝食がおすすめ

スムーズな排便のために重要な腸の「大ぜん動」という収縮運動は、朝食後に最も強く起こります。朝食は、停滞腸と腸冷えを予防・解消する大きなチャンスといえるかもしれません。このチャンスを逃す手はないでしょう。【解説】松生恒夫(松生クリニック院長)

解説者のプロフィール

松生恒夫(まついけ・つねお)
1955年、東京都生まれ。松生クリニック院長。東京慈恵会医科大学卒業。同大学第三病院内科助手、松島病院大腸肛門病センター診療部長などを経て、2004年1月より現職。日本内科学会認定医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医、日本消化器病学会認定専門医。大腸内視鏡検査や炎症性腸疾患の診断と治療、消化器疾患の食事療法などを得意とし、なるべく薬に頼らない便秘解消法としての食生活の指導などを行う。『「排便力」をつけて便秘を治す本』(マキノ出版)など著書多数。

腸を温める食事の基本は「朝食を抜かない」

腸を温めて、元気に動かすための基盤は、なんといっても食生活です。そこで、本項では、腸冷え停滞腸(腸の働きが鈍くなっている状態)を撃退する食事法や食品、ちょっとした食の工夫などを紹介します。

まずは、「腸を冷やさない・温める食事」の基本ポイントからお話ししましょう。


当院で開設している、便秘外来を訪れた患者さんたちの生活習慣を聞き取り調査してみたところ、ある特徴が見つかりました。

1日の食事回数が少ない人が多く、2回以下の人が40%以上いたのです。特に、「ふだん、朝食を抜いている」という人がその大半を占めていました。

「朝は食欲がわかないから」
「忙しくてとる時間がない」
「ダイエットにいいと思って」

など、それぞれの理由はあるようですが、とにかく便秘の人には、「朝食抜き」の食習慣が多いということに驚かされました。

腸の専門医としては、朝食を抜くことは決してお勧めできません。それどころか、いろいろな事情があるにせよ、「なんとか工夫して、ぜひ朝食はとってください」とお伝えしたいところです。

なぜなら、スムーズな排便のために重要な、腸の「大ぜん動」という収縮運動が、朝食後に最も強く起こるからです。

「大ぜん動」とは、腸のぜん動運動(伸び縮みをくり返して内容物を先に送る運動)が、非常に大きく強く起こるものです。大ぜん動は、起こるチャンスが限られています。これは、体内時計(体内リズム)によるものです。

なかでも、胃と小腸が空になっている状態で、胃に食物が入る朝食時には、いちばん起こりやすいのです。

このタイミングを逃さずに、朝食(できれば温かいものを多く)をとって大ぜん動を起こせば、腸が活発に動いて温まりやすくなります。つまり、朝食は、停滞腸と腸冷えを予防・解消する大きなチャンスといえるかもしれません。このチャンスを逃す手はないでしょう。

それでも、どうしても食事をとる時間がないとか、きちんとした食事はとれないというのであれば、せめて本記事で紹介するドリンク類だけでも飲んでみてください。何もとらないよりは、はるかに腸を動かして温めるために役立ちます。

甘酒、オリーブ・ココア、毒出しホットジュースなどは、腸の温め効果も高く、手軽においしく飲めるのでお勧めです。


では、ここからは、腸冷えに効果的なドリンクや食材、栄養素などを、

腸を温めるチョイ足し食材
腸を温めるドリンクメニュー
腸を温める特選食材

に分類して、温め効果の実験結果なども交えながら紹介しましょう。

腸を温めるチョイ足し食材❶【オリーブオイル】

スープなどに回しかけて手軽にとれる

腸を温める料理などを作るのはたいへんという人でも、日常の食生活にちょっと足すだけなら手軽にできるのではないでしょうか。そこで、手軽に「チョイ足し」できて、腸の温め効果が高い食品を紹介します。

その筆頭に挙げたいのがオリーブオイルです。手軽に入手できて、どんな料理にも簡単に足すことができます。特に、腸の温め効果が高いエクストラバージン(以下「EXV」)オリーブオイルは、ぜひお勧めしたい最強のチョイ足し食材です。

オリーブオイルには、精製のしかたによっていくつかの種類があります。そのなかで、最も健康効果や温め効果が高いのは、オリーブの実をしぼったまま精製しておらず、酸度(脂肪酸の酸化の度合い)の低い、EXVオリーブオイルです。

また、オリーブオイルには腸を温めるだけではなく、腸を活発に動かす作用もあります。私は、消化管の運動を促す食材や成分を「消化管作動性物質」と名づけていますが、その筆頭格がオリーブオイルです。


私は、EXVオリーブオイルの保温効果を調べるため、日清オイリオグループの研究所で、ある実験を行いました。温かいミネストローネスープ300mlを、

①そのまま飲んだ場合
②飲む前にEXVオリーブオイル10mlを回しかけて飲んだ場合

の体温の変化を調べたのです。そのほかは同じ条件にして同一人物で計測し、それぞれ飲んだ直後から、30分ごとに体温を測りました。

その結果、①は、飲んだ直後からは体温がやや上がるものの、90分後には下がりました。それに対して②は、飲んだ直後から①より体温が高くなったうえ、90分過ぎたあとも高温をキープしました。その差は、サーモグラフィーの画像を見れば一目瞭然です。

その保温力の秘密は、「油膜」にあります。EXVオリーブオイルを回しかけることで、スープの表面に油膜ができるため、冷めにくくなり、摂取したあとも保温力が持続するのです。

また、ビーカーに入れた80度のお湯を、

①そのままおく
②オリーブオイルを加える
③サラダオイルを加える

という3つの条件で、温度の下がり方を見る実験も行いました(下のグラフ参照)。

※資料提供:日清オイリオグループ

すると、①よりは当然、②③のほうが温度は持続しましたが、③と比べても、オリーブオイルを加えた②は明らかに高い温度が保たれました(特許出願中)。

「効果の秘密は油膜」といっても、油ならよいわけではありません。薄く均一に拡がるEXVオリーブオイルだからこそ、高い保温効果が得られるのです。


日ごろ、せっかく温かいスープや料理をとるのであれば、ちょっとEXVオリーブオイルを回しかけるだけで、腸の温め効果がぐんと高まります。

「和風の料理には合わないのでは?」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。私は、日本食の塩分をやや控えめにし、砂糖をオリゴ糖に置き換えたうえで、EXVオリーブオイルをプラスした料理を「地中海和食」と名づけて推奨しています。

オリーブオイルを多用する地中海料理と日本食とは、食材の構成がよく似ています。日本食ではとりすぎになりがちな塩分と糖分を控えめにして、風味豊かなEXVオリーブオイルを加えれば、ヘルシーでおいしく、腸にもよい食事になります。ぜひお試しください。


もう1つ、手軽に作れるカップスープも紹介しましょう。

マグカップに水とコンソメ(キューブまたは顆粒)、野沢菜漬け(すぐき漬けやキムチでも可)を入れて、電子レンジで温め、最後にオリーブオイルを回しかけます。

この「オリーブ漬物スープ」は、あるテレビ番組で10人に試したところ、全員の排便がよくなったという結果が出ています。野沢菜漬けの乳酸菌も摂取できる、お勧めの即席スープです。

腸を温めるチョイ足し食材❷【シナモン】

パウダーを紅茶などに振りかけて使える

シナモンというと、飲み物やお菓子に使うイメージが強いかもしれませんが、実は「桂皮(けいひ)」という名前で漢方薬に使われる生薬(漢方薬の原材料)でもあります。

クスノキ科の「ニッケイ」という木の樹皮で、独特の風味があります。漢方では、冷えや腹痛、腸炎などに用いる桂枝加芍薬湯、慢性胃炎や胃腸が虚弱な場合に用いる安中散など、多くの処方に使われています。

血行をよくする作用とともに、整腸作用消化促進作用があるので、冷えた腸を温めて、元気にするのに効果的です。

シナモンは、生薬である一方、手軽に使えるスパイスとしてパウダーにもなっているのがうれしいところです。シナモンパウダーは、紅茶などの飲み物やスープ、サラダ、トーストなどに、パッパッと振りかけて使うことができて便利です。

ただし、シナモンには、甘さ・苦さ・辛さの混じったような独特の香りと風味があります。その風味が好きな人は問題ありませんが、好みに合わない人がいるかもしれません。

ちなみに私は、シナモンの香りが好きで、よく紅茶などに振りかけて飲んでいます。合わない人は、無理をせず、ほかの方法で腸を温めればよいでしょう。

腸を温めるチョイ足し食材❸【オリゴ糖】

砂糖代わりに使って腸を元気にする

オリゴ糖は、名前が示すとおり、糖類の一種です。

砂糖などの糖類、デンプンなどの糖質、食物繊維をひっくるめて炭水化物といいますが、それを分解していくと、最後はそれ以上分解できない「単糖」という最小の単位になります。

単糖だけでできているブドウ糖は単糖類、単糖2つでできている砂糖(ショ糖)は二糖類、2〜10個でできているものは少糖類、多数でできているデンプンなどは多糖類と呼ばれます。

このうち、少糖類の別名がオリゴ糖です。広い意味では二糖類の砂糖なども含まれますが、一般的には単糖が3個以上のものをオリゴ糖といっています。


オリゴ糖は、小腸で消化・吸収されてエネルギーになる「消化性オリゴ糖」と、小腸で吸収されないまま大腸に到達する「難消化性オリゴ糖」に大別されます。

このうち、健康効果が注目されており、腸によい作用をするのが、後者の「難消化性オリゴ糖」です。

これには、タマネギ・バナナ・ゴボウなどに含まれるフラクトオリゴ糖、大豆に含まれる大豆オリゴ糖、キャベツ・アスパラガス・サトウダイコンなどに含まれるラフィノース、乳糖から作られるガラクトオリゴ糖、乳糖と砂糖から作られる乳糖果糖オリゴ糖などがあります。

難消化性オリゴ糖は、砂糖と同等か、それ以上の甘みがありながら、種類にもよりますが、エネルギー(カロリー)はおおむね砂糖の半分程度とされています。

そこで、大豆やサトウダイコンから抽出したり、果糖・砂糖・乳糖・食物繊維などから合成したりした難消化性オリゴ糖を、甘味料として液状や粉状にした製品も市販されています。

難消化性オリゴ糖は、大腸に入ると、腸内細菌によって発酵し、短鎖脂肪酸というエネルギー源になる物質となって吸収されます。小腸で吸収されないのにエネルギーがあるのはそのためです。

短鎖脂肪酸(特に酪酸)はエネルギー源にはなりますが、脂肪の蓄積をおさえたり、食欲をコントロールしたりと、ダイエットに役立つ作用があります。

そして、ここで注目したいのが、難消化性オリゴ糖の腸に対する作用です。

難消化性オリゴ糖は、腸のぜん動運動を促したり、腸内の善玉菌であるビフィズス菌をふやしたりと、腸を元気にする働きをします。ですから、砂糖代わりにとって、腸の健康に役立てるのに最適です。

糖の仲間なので、血糖値を上げるのではないかと心配する人もいるかもしれませんが、小腸で消化・吸収されない難消化性オリゴ糖類は、摂取後の血糖値の上昇もほとんど見られません。その点でも、砂糖などよりも安心してとれる糖類です。

オリゴ糖は、加熱しても、その効果や甘みは失われないので、さまざまな料理やお菓子、飲み物などに使えます。ふだん使っている砂糖の代わりに使うだけで、腸を元気にできるので、取り入れてみてください。

おすすめの本

なお、本稿は『腸の冷えを取ると病気は勝手に治る』(マキノ出版)から一部を抜粋・加筆して掲載しています。詳細は下記のリンクよりご覧ください。

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