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【便秘の原因「腸の冷え」とは?】食物繊維と温かい汁物がカギ

【便秘の原因「腸の冷え」とは?】食物繊維と温かい汁物がカギ

便秘をはじめとした腸トラブルを起こし、全身の不調も招く「腸冷え」。この50年間で、日本人の食事や生活、気候などの環境は、大きく変化しました。この間に、腸に負担をかける要素が次々と出てきているのです。【解説】松生恒夫(松生クリニック院長)

解説者のプロフィール

松生恒夫(まついけ・つねお)
1955年、東京都生まれ。松生クリニック院長。東京慈恵会医科大学卒業。同大学第三病院内科助手、松島病院大腸肛門病センター診療部長などを経て、2004年1月より現職。日本内科学会認定医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医、日本消化器病学会認定専門医。大腸内視鏡検査や炎症性腸疾患の診断と治療、消化器疾患の食事療法などを得意とし、なるべく薬に頼らない便秘解消法としての食生活の指導などを行う。『「排便力」をつけて便秘を治す本』(マキノ出版)など著書多数。

あなたの「腸冷え」度がわかるチェックリスト

便秘をはじめとした腸トラブルを起こし、全身の不調も招く「腸冷え」。あなたには、その危険性がどのくらいあるでしょうか。まずは、簡単なチェックをしてみましょう。

下記の項目のうち、自分に当てはまるものを選んでください。Aのリストは腸冷えの代表的な症状、Bは腸冷えを招く生活習慣です。AとBの合計数で、あなたの腸冷えのおよそのレベルがわかります。

このセルフチェックは、あくまでも目安ですが、点数が高い人ほど要注意。特に、Aが5個以上ある人は、すぐになんらかの対策を講じる必要があります。

また、Bが多い人は、今のところ問題はなくても、いずれは腸冷えの症状が出てくるおそれが高いといえます。腸と全身のトラブルを改善、あるいは予防するために、ぜひ本記事で提案する腸冷え対策を実践してください。

A…症状チェック
□ 下半身や足先、手先などが冷えやすい
□ 時間帯や場所による温度差が大きいと体調が悪くなる
□ 便秘したり、ガス腹やおなかの張りを感じたりすることが多い
□ 冬になると便秘や下痢などの腸トラブルが悪化しやすい
□ いつもなんとなくおなかがスッキリしなくて、体も重い
□ 手足や顔がむくみやすい
□ 緊張したり不安があったりすると、胃腸の調子が悪くなる
□ それほど過食していないのに、太りやすく、やせにくい
□ ダイエットしていても下腹だけポッコリ出ている
□ 疲れやすく、カゼをひきやすい

B…習慣チェック
□ 入浴ではあまり湯ぶねにつからず、シャワーだけのことが多い
□ 腕や足、腹部などを露出する服をよく着る
□ 移動は車や電車が多く、あまり歩かない
□ 冬、温度差がかなり大きいところを頻繁に行き来する
□ 夏はクーラーのきいた室内に長時間いる
□ 運動や、活動的なことが好きではない
□ 朝食を抜いたり、飲み物だけにしたりすることが多い
□ ビールなどの冷たいお酒が好きで、毎日のように飲んでいる
□ 野菜や果物はあまり食べない
□ 生活のなかでストレスを感じることが多い

の合計でわかるあなたの「腸冷え」度

●0〜2個=ほぼ安心
腸冷えの心配は今のところほとんどなさそうです。Bでチェックの入った項目がある場合、それを改善すればさらに安心です。

●3〜4個=軽症
まだ軽症ですが、腸冷えがあると考えられます。今のうちに対策を。Bでチェックの入った項目を中心に生活改善をしましょう。

●5〜7個=進行中
Aが多い人は、腸冷えが進んでいるおそれが大。Bの多い人は、まだ自覚症状が少なくても、これから腸冷えが進むおそれがあります。

●8個以上=重症!
重症の腸冷えと考えられます。特にAが多い人は深刻です。




できるところから食事や生活を改善し、温かく健康的な腸を取り戻しましょう! その具体策は順に紹介しますが、まずは、日本人の腸がこれほど冷えるようになったわけと、腸冷えの怖さについてお話ししておきましょう。

この50年で日本人は腸が大きく悪化

便秘、下痢、おなかの張り、ガス腹、軟便、あるいは便秘と下痢をくり返す過敏性腸症候群など、今、多くの人が腸のトラブルに悩まされています。

その基盤として、腸の運動が全体的に低下する「停滞腸の人も多く見られます。難病である潰瘍性大腸炎やクローン病、さらには大腸ガンなど、深刻な腸の病気もふえ続けています。

私が医科大学を卒業した1980年当時、日本では腸より胃・十二指腸の病気が圧倒的に多く、消化器内科医は胃内視鏡検査の腕を上げることに力を注いでいました。

ところが、今は腸の病気がふえ、大腸内視鏡検査のできることが、消化器内科医として必須になっています。それほど日本人の胃腸病は、胃から腸にシフトし、腸の病気が増加の一途をたどっているのです。


日本人の腸が、これほど悪化したのはなぜでしょうか。1つのヒントが、近年の日本の変化にあると考えられます。私が医師として働き始めた30数年前、さらには50年前と比べると、日本の状況は、あらゆる面で大きく変化しています。

「50年前の日本」。ちょっと思い出してみてください。あるいは50歳以下の人なら、いろんな人の話から想像してみてください。

この50年間で、日本人の食事や生活、気候などの環境は、大きく変化しました。そのことが、実は私たちの「腸」に大きな影響を及ぼしています。この間に、腸に負担をかける要素が次々と出てきているのです。

もちろん、食事・生活・環境を50年前に戻すことはできません。しかし、できる対策を行うだけでも、腸をいたわり、元気にすることは可能です

大切なのは、なにげなく行っている日々の習慣が、腸に負担をかけていると気づくことです。そうすることが、本記事のテーマである腸冷えの改善・解消につながります。そこで、まずはこの50年に、日本がどう変化したかを見てみましょう。

食物繊維の摂取量が大幅にへった!

50年前、昭和40年代の食事というと、どんなものだったでしょうか。

実体験がある人はもちろん、ご自分が経験していなくても、そのころの食事といえば、ご飯にみそ汁、魚、おひたしや野菜の煮物といったメニューが、なんとなく頭に浮かぶのではないでしょうか。

そういうイメージのとおり、約50年前の食生活では、いわゆる「一汁三菜」の食事が主流でした。メインのおかずとしては、肉はめったにとらず、魚が主体。野菜のほか、海藻や豆、イモ類などが、頻繁に食卓に上がっていました。

現在も同じような食事をとることはありますが、大部分の人にとって、それは食生活の中のごく一部でしょう。朝食はパンとコーヒー、昼食はワンプレートのランチや丼物や麺類、夕食は肉が主体というような食生活が、今ではごく一般的になってきています。

振り返ると、特に1990年代以降は、食の欧米化が進むとともに、コンビニ食やファストフードが急速に広まりました。そのころの日本人の食生活では、すでに肉類や牛乳・乳製品の摂取量が、1960年代に比べて2〜3倍以上になっています。

比例するようにへったのが、野菜や米です。米の摂取量は、50年前と比べておよそ半分になっています。

※農林水産省「食料需給表」より

米自体を食べなくなっただけではなく、主食のあり方が大きく変わりました。

50年前の日本人の主食といえば、庶民にとっては、米に麦をまぜた麦ご飯が主体でした。私の家でも、米に麦を1〜2割まぜて炊いていたのを覚えています。文献で見ても、多くの家庭で麦ご飯をとっていたことが記されています。

最近では麦のよさが見直され、もちもちした食感でおいしく食べられる「もち麦」や「スーパー大麦」がブームになっていますが、昔の日本の家庭では、麦をまぜて炊くのがあたりまえだったのです。

ブームになっているとはいえ、今は、基本的には白米だけを食べるのが普通ですし、白米そのものも食べる量が激減しています。それに伴い、ご飯食に合う青菜や根菜などの野菜、海藻、豆類などの摂取量もへっています。

こうした食生活の変化は、栄養面で見ると、どこに最も大きく影響するでしょうか。

それは、「食物繊維の摂取量の減少」です。1950年ごろの日本人は、1日に25g前後の食物繊維をとっていましたが、時代とともにへり続け、最新の調査では、14.4gとなっています(平成29年「国民健康・栄養調査」)。

日本人の食事摂取基準では、食物繊維の目標量は男性20g、女性18gとされているので、大幅に不足しています。特に、若い人ほど食物繊維の摂取量が少なくなっており、気がかりなところです。

※2001年〜:厚生労働省「国民健康・栄養調査」
※〜1987年:日本家政学会誌, 45(12),1079,1994

食生活の変化で排便力が低下し、腸内環境が悪化

食物繊維は、腸の健康に深く関係しています。じゅうぶんな食物繊維をとることで、まず「排便力」が高まります。

食物繊維は、人間の腸ではほとんど消化・吸収されずに大腸に運ばれ、そこで水分を吸着します。ですから、食物繊維をしっかりとると、ほどよいやわらかさと大きさの便がつくられ、腸壁が刺激されてスムーズな排便が促されるのです。

しかも、食物繊維は、善玉の腸内細菌のエサになります。

今では広く知られているように、私たちの腸内には約100種類、100兆個に及ぶおびただしい数の腸内細菌がすんでいます。そして、人体に有害な作用をする悪玉菌、有用な働きをする善玉菌、状況に応じてどちらにもなる(善玉菌・悪玉菌の優勢な側と同じ働きをする)日和見菌に分かれます。

善玉菌と悪玉菌は、絶えず勢力争いをしており、前者が優勢になるほど、腸の健康は維持されやすくなります。そこで、善玉菌の応援をするために、ぜひ積極的に摂取したいのが、善玉菌のエサになる食物繊維です。

便秘やガス腹を生む停滞腸を改善して、元気な腸をつくるためにも、食物繊維の摂取が最大のポイントになります。

くり返しますが、日本ではその食物繊維の摂取量が大幅にへり、不足した状況が続いています。そのことが、腸内環境を悪くし、腸冷えにもつながっています。腸は、冷えると働きが鈍くなりますが、働きが滞ることによっても、逆に冷えを招くことがあるからです。

体が冷えると運動しにくくなりますが、運動しないでいるとますます冷えてきます。それと同じで、腸冷えと停滞腸は悪循環を生み出します。食物繊維不足によって、その悪循環が加速されているのが、現代日本人の食生活なのです。

食物繊維には、水に溶けにくい不溶性食物繊維と、水に溶けやすい水溶性食物繊維があります。どちらも腸の健康に役立ちますが、特にしっかりとりたいのが水溶性食物繊維です。

水溶性食物繊維は、寒天、コンブ、ワカメなどの海藻、バナナ、リンゴ、かんきつ類などの果物、シイタケ、マツタケ、エノキダケなどのキノコ類などに豊富です。

前述のもち麦やスーパー大麦にも、β─グルカンというすぐれた作用を持つ水溶性食物繊維が多く含まれています。

腸を内側から元気にする温かい汁物をとる機会もへった

近年の日本の食生活で、腸にダメージを与えている要素は、食物繊維の不足だけではありません。

前述のように、一汁三菜の食事が普通であった時代から、ワンプレートの食事やスナック食がふえてきたことで、温かい汁物をとる機会がへりました。

もちろん、今でもみそ汁やスープなど、温かい汁物をとることはありますが、ほぼ毎日、毎食のようにみそ汁を飲んでいた時代とは比べものにならないでしょう。

物理的に、温かい液体で腸を内側から温めることは、実はたいへん重要です。私は、診療のなかで、そのことを痛感しています。

私は、大腸の内視鏡検査の前に、腸の中を空にする目的で服用してもらった腸管洗浄液の泡を消すため、約500mlのぬるま湯を腸に注入します。すると、泡が洗い流されるとともに、大腸が温められてやわらかくなり、内視鏡が挿入しやすくなります。

手間がかかるので、これを行わない医療機関も多いようですが、私は必ず行います。多くの患者さんが、このとき、「おなかが温かくて気持ちいい」とおっしゃいます。

そこで、ぬるま湯を入れる前後で患者さんの心拍数を測ってみたところ、多くの人の心拍数が下がり、リラックス状態になっていることがわかりました。

大腸が温められることで、自律神経(意志とは無関係に体の機能を調節している神経)のうち、リラックス状態をつくり出す副交感神経の働きが強まる結果と考えられます。

腸の働きを司るのは副交感神経ですから、腸を内側から温めることは、物理的な温熱効果以上に、腸を元気にしてくれるのです。

おすすめの本

なお、本稿は『腸の冷えを取ると病気は勝手に治る』(マキノ出版)から一部を抜粋・加筆して掲載しています。詳細は下記のリンクよりご覧ください。

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