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【耳管開放症の症状】主な症状は耳閉感と自声強調 自己診断のポイントは?

【耳管開放症の症状】主な症状は耳閉感と自声強調 自己診断のポイントは?

耳管開放症の主な症状は耳閉感・自声強調の2つ。本人はすごく苦しいのに、他人にわかってもらえないのもこの病気のやっかいなところです。副次的な症状として、耳鳴りやめまい、難聴といった症状をしばしば併発します。【解説】萩野仁志(はぎの耳鼻咽喉科院長)

解説者のプロフィール

萩野仁志(はぎの・ひとし)
自らの耳管開放症を治した経験から、西洋医学と東洋医学を融合させた独自の治療体系を確立し、成果を上げる。耳管開放症の名医としてインターネットで話題となる。東海大学医学部卒業。はぎの耳鼻咽喉科院長。東海大学医学部専門診療学系漢方医学教室非常勤講師。クラシック&ジャズ・ピアニストとしても活動。共著書に『「医師」と「声楽家」が導く 人生最高の声を手にいれる6つのステップ』(音楽之友社)などがある。

耳管開放症になると、どんな症状が出てくるのか

耳管開放症の主な症状は、2つあります。加えて、併発する症状として、2つ挙げられます。

(主な症状)
耳閉感
自声強調


(副次的症状)
❶耳鳴り・めまい・難聴・(滲出性中耳炎~いわゆる「鼻すすり型耳管開放症」)
❷自律神経失調症(意志とは無関係に体の機能を調節している神経の乱れによる症状)


主な症状の第1は、耳閉感です。

耳管開放症になると、耳がつまったような感覚が現れます。

「耳に耳栓を入れたような感じ」という人もいれば、「飛行機の離着陸時に外気圧の変化に対応できないときの、耳がぼーっとした感じ」という人もいます。あるいは、「泳いだあとの耳抜きがうまくできなかったときの感じ」と訴える人もいます。

耳管が開いているのに、耳がつまっていると感じるのです。

耳管が開きっぱなしになると、息を吸ったり吐いたりするたび、口から鼻へ流れた空気が耳管を通って中耳に出入りしてしまいます。

耳管開放症の人の鼓膜は、鼻からの息によって膨張します。これは、飛行機の離陸時に機体が急上昇したとき、外気圧が下がることによって、鼓膜が膨らむ状態と同じなので、人間はこの状態と錯覚してしまうのかもしれません。

同時にまた、鼻息がぶつかることで鼓膜がよぶんな振動をするため、音が聞こえにくくなります。

耳閉感は、頭を下げたり、寝転がって頭が低い位置になったりすると、よくなることが多くあります(詳しくは後述)。


主な症状の第2が、自声強調です。

なにしろ、耳管から空気が入ってきてしまうわけです。それはすなわち、音声も入るということです。しゃべれば、自分の声が耳管ルートから中耳に届き、直に自分の鼓膜に当たって響くのです。

自分の声(ときには、他人の声も)が非常に大きく聞こえるようになってしまいます。しゃべっていないときには、自分の呼吸音がゴーゴーと轟音のように聞こえる人もいます。

自分の声が直接鼓膜に響くので、自分が今、どれくらいの声の大きさでしゃべっているのかわかりません。このため、耳管開放症の人は、自分がどれくらいの声の大きさで話せばいいか、わからなくなるのです。特に歌手のかたは、自分の声の細かいコントロールができなくなるので、軽い耳管開放症でも、重大な問題となります。

その結果、極端に口数が少なくなったり、自分の声が響くので、声が非常に小さくなったりします。本人は普通にしゃべっているつもりでも、周りにはささやいているようにしか聞こえないことも多いのです。

ひどい鼻声になる人もいます。鼻づまり特有の、変な声になってしまうのです。

耳管開放症に悩む人は、人との会話や、しゃべることが苦痛になり、コミュニケーションを取るのをつらく感じるようになります。なかには、家にひきこもりがちになったり、徐々に人との交流を厭い、孤立したりする人もいます。

さらに、大きく響く声自体が、肉体的にも、精神的にも、本人に直接的なダメージを与えます。


このように、耳管開放症は悪化すればするほど、生活に支障をきたす病気です。

しかし、外から見ると、どこも悪いようには見えません。本人はすごく苦しいのに、その苦しさが他人にわかってもらえない。苦痛を人に理解してもらうのが難しいというのも、この病気のやっかいなところです。

うつと誤解されたり、誤診されたりするのも、そういう一面があるからです。




副次的な症状として、耳鳴りやめまい、難聴といった耳の症状をしばしば併発します。

耳管開放症があると、「耳の中で水が流れる音がする」という耳鳴りや、心臓の拍動の音が耳鳴りとして聞こえたりすることがあります。そうした耳鳴りが聞こえるなら、耳管開放症を疑ってみてもいいと考えられます。

耳鳴りは、さまざまな耳の病気でも起こりますし、原因は今でも特定されないケースがほとんどです。しかし、耳鳴りが主訴で来院された人のなかに、耳管開放症が見つかることがあります。

また、耳管開放症の人は、しばしばめまいを伴います。それは多くの場合、「フラフラする」「フワフワする」というめまいで、「グルグル回る」という人は少数です。

なお、「聞こえにくい」という訴えで受診された人のなかに、耳管開放症の人がしばしば見られます。その特徴としては、聞こえが日によって、あるいは時間帯によって変わることが多い点です。

その場合、検査で異常が出て、「感音難聴(中耳に問題がある難聴)」「伝音難聴(外耳、中耳に問題がある難聴)」などと診断されることもあります。

このような耳鳴り、めまい、難聴という症状がそろうと、メニエール病や突発性難聴も疑われますが、詳細な問診と丁寧な診断によって、これらの病気と鑑別(病気を見分けること)できます。

さらに、自律神経失調症による不定愁訴が伴うことも多く見られます。

頭痛、肩こり、不眠、イライラ、疲労感、朝起きたときの鼻水……。とにかく体調の悪い人が多いのです。


耳管開放症は、しばしばうつ病と間違えられます。また、耳管開放症が悪化すると、症状がつらすぎて、うつ病になってしまう人がいるのも事実です。

なお、自律神経失調症状が強く、耳閉感、めまい、難聴をくり返すのは、メニエール病にもよく見られるので、鑑別が必要です。ときには、耳管開放症とメニエール病の両方を持っている人もいます。

耳管開放症では、耳管が開いているのに、耳がつまった感じがする
自分の声が直接鼓膜に響くので、自分が話している声の大きさがわからない。そのため極端に口数が少なくなったり、声が非常に小さくなったりする


検査で異常が出ないことはよくあるのか?

耳に違和感があり、耳鼻科で検査を受けても、検査では異常が見つからず、「どこも悪くない」といわれたという人は、少なくありません。というより、こういうパターンは、わりによくあるといっていいでしょう。

耳管開放症に関して、さまざまな検査が行われます。主な検査としては、次のようなものがあります。

聴力検査……耳管開放症によって聞こえが悪くなっているかどうか調べる
耳管機能検査……嚥下(食べ物を飲み込むこと)によって、耳管が開け閉めされる様子を調べる
ティンパノメトリー……鼓膜に圧力をかけたときの鼓膜の動きをグラフ化して、鼓膜の状態を診断する
オトスコープ……医師と患者さんの耳をオトスコープ(ゴム管)でつなぎ、実際に患者さんに話してもらい、耳管が開いているかどうかを診断する
座位耳管CT(コンピュータ断層写真)…座った姿勢で耳管のCTを撮影する

耳管開放症の場合、これらの検査を行っても、検査の数値に異常が出ないことがしばしばあります。全く数値に異常が出ないと、西洋医学的には病気がないことになります。特に聴力検査で異常が出ていない場合、早急に治療が必要な状況ではないと判断されてしまう可能性が高いのです。

しかも、この病気の症状には、日内変動があります。午前中は、耳管周囲の血流が保たれているためか、症状の軽い人が多いのです。しかし、夕方、疲れてくると、悪化します。ですから、午前中に1回、検査をしただけで大丈夫と診断されても、患者さんの真のつらい状態が把握できていない可能性があります。

数値化されにくく、病状自体も日内変動する。つまり、その病態が非常にとらえられにくい病気なのです。

異常が見つからないので、「どこも悪くありませんよ」と、そのまま治療もされずに帰されてしまうこともしばしばです。こうして、検査値に異常がないのに、患者さんがつらい症状を強く訴えれば、「心の病気」が疑われることにもなります。

耳管開放症は、検査を行っても異常が出ないことはよくある
1日の中で症状が変わるので、診察時に異常が見つからないおそれがある

自己診断のポイントは?

検査で異常なしといわれても、実際の症状がよくなるわけではありません。そうした人こそ、自分は本当に耳管開放症なのかどうか、真剣に知りたいと願い続けているに違いありません。

まず自分の感じている症状をよく観察し、自分の状態をしっかり把握しましょう。

ちなみに、耳管開放症と似たような症状を呈する病気に耳管狭窄症があります。ここで、耳管狭窄症という病気についてもふれておきましょう。

耳管狭窄症も、その名から推察できるとおり、耳管開放症と同様に、耳管に障害が起こる病気です。最も典型的なのは、カゼやアレルギー性鼻炎などで耳管の粘膜に炎症が発生し、粘膜が腫れたことで耳管が塞がれて起こるものです。

耳管が閉じたままになると、中耳の粘膜から少しずつ空気が吸収され、鼓室が陰圧に(外より気圧が低く)なり、鼓膜が内側に凹んだ状態になります。

そのため、鼓膜の動きが悪くなり、耳管開放症と同様に、「耳がつまった」と感じるようになります。

こうして慢性的に鼓膜がへこんだ状態が続いたり、さらに陰圧がかかったりすると、滲出液がにじみ出て、中耳に水や膿がたまり、滲出性中耳炎を起こすこともあります。

一般に、耳管狭窄症の症状は、「耳がつまる」のほかには、「自声強調」「難聴」などがあります。

つまり、耳管狭窄症は、訴える症状のうえでは、耳管開放症とほとんど変わりがありません。先にもふれたとおり、耳鼻科でも、耳管開放症なのに耳管狭窄症と診断されるケースがしばしば起こります。

では、どんな点で、典型的な耳管狭窄症と、耳管開放症とは区別されるのでしょうか。

症状の激しさ
症状の出ている耳を下にして横になると楽になる

ともに同じ症状を呈しますが、自声強調の度合いが開放症のほうが激しいのです。

「自分がどのくらいの大きさの声で話したらいいか、わからない」という場合は、開放症を疑います。狭窄症も音が響きますが、開放症の人は、もっと強く響きます。このため、患者さんの受ける苦痛が、開放症のほうがはるかに大きいのが特徴です。

難治の耳管開放症に比べて、カゼなどをきっかけになった耳管狭窄症は、一般的な治療で、比較的治りやすいという点でも違います。

もっとわかりやすいのが、症状の出ている耳を下にして寝てみることです。

耳管開放症については、血流障害が症状に影響していると考えられるため、症状の出ている側の耳を下にして寝ると、血行がよくなり、いい影響が現れます。症状が楽になるのです。

一方、耳管狭窄症では、耳管に炎症が起こっていますから、血行がよくなり、患部に血が集まってくると、症状が悪化します。耳管開放症と全く逆の反応になるのです。

自己診断する際にも、この2つのポイントが役立つはずです。

音が響く、特に「自分の声が響くため、自分の声をどれくらいの大きさで出したらいいかわからなくなる」といった自覚があり、悪いほうの耳を下にして寝ると、症状が楽になるようでしたら、耳管開放症である可能性が高いでしょう。

いずれにしても、これらは簡易的な自己診断法なので、正確な診断は病院で受けましょう

耳管開放症のほうが、耳管狭窄症より症状の激しいことが多い
症状の出ている耳を下にして横になると楽になるのは、耳管開放症のことが多い

おすすめの本

なお、本稿は『謎の耳づまり病を自分で治す本』(マキノ出版)から一部を抜粋・加筆して掲載しています。詳細は下記のリンクよりご覧ください。

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