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【耳管開放症とは?】よくある病気なの?本人も医師も気づいていないケースがある

【耳管開放症とは?】よくある病気なの?本人も医師も気づいていないケースがある

耳管開放症は珍しい病気ではありません。耳管が、なんらかの事情で開きっぱなしになってしまう病気とされています。「耳がずっとつまっている」「妙に音が響く」と感じていても、病気だと自覚していない人は多いはずです。【解説】萩野仁志(はぎの耳鼻咽喉科院長)

解説者のプロフィール

萩野仁志(はぎの・ひとし)
自らの耳管開放症を治した経験から、西洋医学と東洋医学を融合させた独自の治療体系を確立し、成果を上げる。耳管開放症の名医としてインターネットで話題となる。東海大学医学部卒業。はぎの耳鼻咽喉科院長。東海大学医学部専門診療学系漢方医学教室非常勤講師。クラシック&ジャズ・ピアニストとしても活動。共著書に『「医師」と「声楽家」が導く 人生最高の声を手にいれる6つのステップ』(音楽之友社)などがある。

耳管開放症はよくある病気なのか

耳管開放症は、珍しい病気ではありません。むしろ、わりとよくある病気といっていいでしょう。ある健診の折、試しに調べた医師がいました。すると、受診者の10%が、耳管開放症の症状を経験していたという報告があります。

確かに、耳鳴りやめまいほどは多くないかもしれませんが、かなりの数の患者さんがいると推定できます。というのも、耳管開放症に関しては、2つの理由から、この病気に悩んでいる人の数が把握しにくいと考えられるからです。

まず、本人が気づいていないというケースが、かなりあるといえます。

ただ、「耳がずっとつまっている」「妙に音が響く」と感じているだけで、病気だと自覚していない人は多いはずです。また、過去になったけれど、自然に治ったという人もいるでしょう。

加えて、医師が気づかないケースがかなりあると考えられます。

耳鼻咽喉科で検査をしても、異常を示す数値が出ない場合、症状を訴えても、健康体とみなされてしまうことがあります。

また、耳管開放症と似たような症状を引き起こす病気に、耳管狭窄症があります。本当は耳管開放症なのに、耳管狭窄症と診断されて、治療を受けている人が、かなりの数いると考えられます(耳管狭窄症との区別の問題については続きの記事でふれます)。

そんなわけで、気づかずに、あるいは、耳鼻科でも病気と認められずに、この病気の症状で悩んでいる人が、たくさんいると想定できるのです。

ちなみに、私の臨床経験からいえば、女性と男性は、およそ2:1の比率。男性にもいますが、女性に多い。ホルモンバランスが影響しているため、妊娠中の女性や、ピルを飲んでいる(人工的に疑似妊娠状態をつくり出している)女性に多く見られます。

年齢的には、小学生から発症するお子さんもいますが、まれです。高校生あたりからふえ始め、若年層から中高年世代までまんべんなく患者さんがいます。

耳管開放症だと気づいていないケースは多い
耳管狭窄症と誤診されている人も多いと考えられる

耳管開放とは、そもそもどういう状態なのか

耳管という器官を確認しておきましょう。

私たちの耳は、外耳、中耳、内耳の3つの部分からなります。

耳の穴(外耳道)をまっすぐ入っていくと、突き当たるのが鼓膜です。鼓膜の向こう側に空間があり、そこが中耳です。中耳には、耳小骨という3つの小さな骨があり、この耳小骨が鼓膜と内耳をつなぎ、音の伝達を行っています。

この中耳は、耳小骨を除けば、ガランとした小さな空間で、そこは鼓室(もしくは中耳腔)と呼ばれています。しかし鼓室は、完全に閉じられた空間ではなく、鼓室の下部に鼻の奥へと抜けている管があります。

これが、耳管です。耳管は、およそ3.5㎝ほどの長さの管で、鼻の奥の上咽頭(のどの上部)に通じています

耳管は上咽頭に通じている

耳管の管は、ふだんは閉じていますが、つばを飲み込んだり、あくびをしたりすると、一時的に開きます。

耳管の役目は、鼓室と外気の気圧に差ができたときに、気圧調節をすることです。

例えば、新幹線がトンネルの中に入ったときや、高速エレベーターに乗って上昇していくときに、鼓室の中の空気と外気圧に差が生じ、耳がつまった感じになります。

そういうとき、人は無意識のうちにつばを飲み込んだり、あくびをしたりして気圧調整を行っています。自然に気圧調整ができなければ、そのままでは不快なので、場合によっては、鼻をつまんで力んで、空気を通そうとすることもあるでしょう。

さらに耳管には、それが閉じていることによる重要な効用があります。

耳管が閉じていることで、鼓膜の振動が安定して聞きやすい状態が保たれているのです。また、上咽頭には雑菌が多いため、中耳内への雑菌の侵入を防いで、感染が起こらないようなしくみになっています。

耳の穴(外耳道)から入ってきた音は、鼓膜にぶつかり、鼓膜を震わせます。鼓膜の振動は、耳小骨に伝えられ、その振動が耳小骨で増幅されて、内耳へと伝えられていきます。

いい換えれば、次のようにもいえることになります。

外の音を伝えるために欠かせない役割を果たしている、この鼓室(中耳腔)という空間が、耳管を介して外とつながっている。

一般的には、耳管開放症という病気は、ふだん閉じているはずの耳管が、なんらかの事情で開きっぱなしになってしまう病気とされています。

つまり、開きっぱなしになると、その耳管から、鼻や口から入った空気が通ってきます。空気が入るということは、そこから音も入ってくるということです。特に、自分のしゃべっている声が届くのです。

その結果、いろいろと不都合が起こってくることになります。

耳管は、鼓室と外気の気圧に差ができたときに、気圧の調節をする役目を果たす
耳管が閉じていることで、外部の音を聞きやすい状況が保たれる。中耳内への雑菌の侵入も防ぐ

おすすめの本

なお、本稿は『謎の耳づまり病を自分で治す本』(マキノ出版)から一部を抜粋・加筆して掲載しています。詳細は下記のリンクよりご覧ください。

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