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【鼻づまりが治らない】原因と治療法は?病院に行くべきはどんなとき?

【鼻づまりが治らない】原因と治療法は?病院に行くべきはどんなとき?

アレルギー性鼻炎の人も、副鼻腔炎の人も含めて、鼻づまりが治りにくい理由は、2つにまとめることができます。①鼻づまりの原因が正しく突き止められていない、②原因は突き止められているが、その病気自体が治りにくいことです。【解説】北西剛(きたにし耳鼻咽喉科院長)

解説者のプロフィール

北西剛(きたにし・つよし)
きたにし耳鼻咽喉科院長。医学博士。1966年、大阪府守口市に生まれる。滋賀医科大学卒業後、病院勤務を経たのち、故郷の守口市で2005年にきたにし耳鼻咽喉科を開院。日本耳鼻咽喉科学会専門医、日本気管食道科学会専門医。日本アーユルヴェーダ学会理事長。日本胎盤臨床医学会認定医・理事。日本統合医療学会認定医。日本ホメオパシー学会認定医。そのほか、森林セラピスト、野菜ソムリエ、阪神タイガースネット検定合格など、多彩な活動をしている。主な著書に『耳鼻咽喉科医だからわかる意外な病気、治せる病気』(現代書林)、『難聴・耳鳴り・めまい「治る」には理由(わけ)がある』(ルネッサンス・アイ)、『「うるうる粘膜」で寿命が延びる』(幻冬舎MC)などがある。
▼きたにし耳鼻咽喉科ホームページ

鼻詰まりがなかなか治らない2つの理由

私のクリニックを訪れるのは、まずは、近隣・近郊のかたたち。しかし、それだけではありません。かなり遠方から、例えば、九州・沖縄などから、飛行機や新幹線などを乗り継いで、当院のある大阪府守口市までやってくるかたがいらっしゃるのです。

そういうかたはたいてい、治りにくい症状や病気を抱えています。

いろんな病院で診てもらったが、けっきょく、よくならなかった
大学病院で診察を受けたが、ダメだった
いったんよくなっても、しばらくすると、また悪くなってしまう
症状がつらくて、日常生活にも支障をきたすようになった

いろいろな事情から困り果てて、長年悩んだ末に、インターネットや雑誌などの情報を頼りに来院されます。

そうしたかたたちは3分診療ではとても診られません。だから自由診療日(難治の患者さんのために、わざわざそういう日を作っています)に来ていただいて、しっかり話を聞ける態勢で対応しています。

実際の治療に時間がかかるというより、長年苦しんできたかたたちは、話すことがいろいろあるのです。こちらも、聞きたいことや、よくなるためにお伝えしたいことがたくさんあります。たくさんのことを聞き、多くのアドバイスをする必要があり、それには時間がかかるのです。

また、そこまで深刻化していないにしても、漠然と「治りにくさ」を感じている人は、さらに大勢いらっしゃるでしょう。

病院に行くかわりに、市販薬を飲んで少しはよくなったが、微妙に調子の悪い状態が続いている人。病院に行ってはいるものの、なんだかあまり改善していないという人。これらの人たちも、治りにくさを抱えているにちがいありません。

診断名から分類すると、私のクリニックの来院患者さんのうちで多いのは、アレルギー性鼻炎、特に花粉症の人たち。なにしろ、花粉症は、日本人の4人に1人がかかっているといわれるほど。文字どおりの国民病です。有病率を反映して、たくさんの人がやってきます。

それから、慢性副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)でお悩みの人たちも、花粉症に劣らないくらい多いのです。副鼻腔炎は、副鼻腔という空洞に炎症が起こる疾患です。

アレルギー性鼻炎の人も、副鼻腔炎の人も含めて、多くの患者さんが「治りにくさ」を感じ、訴えます。




鼻づまりを引き起こす疾患にも、初級レベル、中級レベル、上級レベルがあり、レベルごとに悩みの違いがあるのは事実ですが、そのあらゆるレベルに共通する、治りにくい理由があると私は考えています。

その理由は、2つにまとめることができます。
鼻づまりがなかなか治りにくい2つの理由
鼻づまりの原因(疾患)が正しく突き止められていない
原因(疾患)は突き止められているが、その病気自体が治りにくい


まず、第1の理由について、
「鼻づまりの原因が正しく突き止められていないから、治りにくいって、なんだ、あたりまえのことじゃないか」、と思ったかたもいらっしゃるでしょう。

しかし、鼻づまりに関しては、正しく原因を突き止めるのは、それほど簡単なことではありません

鼻づまりという、わりにシンプルに見える症状は、実は、さまざまな病気や体の状態の変化によって起こります。しかも、どんな病気が鼻づまりを引き起こすか、医師でもなければ、基本的な知識すら共有されていません。

大多数のかたがたは、「カゼをひくと、鼻がつまることがある」とか、「そういえば、昔は青っぱなを垂らした子供がいたな。ああいう子たちを見なくなったのは、どうしてだろう?」といった経験的知見だけで、この疾患に対応しています。

このため、簡単に自分の病気を誤解してしまったり、思い込みで病名を決めつけてしまったり……。そういうことが頻繁に起こっているのです。

まず、鼻の構造と各部位の役割を、簡単に見ておきましょう。

鼻の中はこうなっている

鼻の構造と副鼻腔のしくみ

鼻の内部が、鼻腔です。

鼻の穴の入り口は狭いですが、内部は、意外に広い空間になっています。鼻の穴からのどまで、鼻腔は、鼻中隔という仕切りによって2つに仕切られています。2本の管状になっているといってもいいでしょう。

左右の鼻腔の外側の壁には、2つのひさし状の粘膜のひだがあって、上から上鼻甲介中鼻甲介下鼻甲介という名前がついています。

このひだの粘膜には鼻汁を分泌する細胞があって、吸った空気に適当な湿り気を与えています(加湿機能)。この機能が亢進すると、たくさんの鼻水が分泌されてしまうことになります。

粘膜の表面には繊毛(せんもう)という細かい毛のような構造があり、ちりやほこり、細かな異物をのどのほうに押し流す働きがあります(異物除去機能)。

さらに粘膜のやや深いところに、血管があって、吸った空気を温めています(加温機能)。つまり、鼻腔は加湿器やヒーター、フィルターとして働いているのです。

鼻腔内の最上階には、においを感じる部位があります。においのもとになる物質が呼吸とともに入ってきて、この粘膜につくと、においを感知します。

鼻腔の周囲には、複数の空洞があります。これが副鼻腔です。上顎洞篩骨洞前頭洞蝶形骨洞と名づけられた4種類の空洞が、それぞれ左右にあるので、総計8つの副鼻腔があることになります。

それぞれの内部は空洞で、空気が入っており、各部屋の表面は鼻腔と同じ粘膜で覆われています。各副鼻腔は、小さな通路を通して鼻腔とつながっていて、空気が出入りしています。

2つに分かれた鼻腔が1つになるところ、すなわち、のどの突き当たりが上咽頭と呼ばれる部位です。のどの天井に当たります。そこからのどを下ると、中咽頭、下咽頭、さらには喉頭や気管と呼ばれる部位を介して肺へとつながっています。

これが、ざっくりと見た鼻の構造と機能です。

次に、鼻づまりという現象は、どうやって起こるかも見ておきましょう。

鼻詰まりはなぜ起こるのか

鼻づまりの原因は、さまざまです。主に、次のような条件が生じたとき、鼻づまりが起こってきます。4つ挙げておきましょう。

鼻づまりの起こる4条件
鼻の粘膜が腫れている
鼻汁がたまっている
ポリープ(鼻たけ)ができている
鼻の骨が曲がっている


まず、炎症やアレルギーによって、鼻の粘膜が腫れていると、空気の流れが悪くなります。カゼに伴う鼻炎や、副鼻腔に炎症が起こる副鼻腔炎、花粉やダニなどのアレルゲン(発作の原因物質)に反応して起こるアレルギー性鼻炎などによって、粘膜の腫れが生じます。

次に、副鼻腔炎では、粘り気のあるドロドロした鼻水が出ることがあります。ドロドロの鼻水は鼻の中にたまりやすいため、空気の通り道をふさいでしまい、鼻づまりの原因になります。

カゼによる鼻炎やアレルギー性鼻炎によっても、ドロドロではないものの、大量の鼻水がたまり、空気の通り道をふさぐことがあります。

副鼻腔炎では、鼻の中に鼻たけと呼ばれるキノコ状のポリープができることがあります。鼻たけは大きくなったり、複数できたりすると、鼻の中をふさいで、鼻づまりの原因になります。

鼻腔を2つに仕切っているのが、鼻中隔。この鼻中隔が曲がっていると、曲がっている側の鼻の空気の通りが悪くなります。


ほかに、小さなお子さんの場合(3~6歳くらい)、鼻とのどの間にある咽頭扁桃が生理的に肥大したアデノイドという病気があり、これによって上咽頭の辺りの空気の通りがふさがれるケースがあります。

また、これも小さなお子さんに多いのですが、食べ物や小さなおもちゃが鼻の中に入り込み、鼻づまりが起こることがあります。

その他、まれに鼻の中にできもの(腫瘍)ができている場合があります。特に、痛みや出血を伴ったり、片側だけ鼻がつまったりする場合は、必ず耳鼻科を受診してください


鼻づまりという1つの症状が起こるのに、このような、いろいろな原因がかかわっていることになります。

知らないからこそ、簡単に誤解が生じてしまう

鼻づまりに限らず、鼻水やくしゃみ、のどの違和感などの鼻のトラブルに関しても、同じようなことが当てはまります。いろいろな原因に応じて、さまざまな症状が起こっています。

あたりまえのことですが、このへんの詳細は、専門医以外、あまり知られていません。このため、「鼻づまりの原因(疾患)が正しく突き止められていない」ということも、あっさり起こってしまうわけです。
次のようなケースがあります。


ケース1「花粉症 ➡ 実は、副鼻腔炎」

「自分はてっきり花粉症だと思って、市販薬を飲んできたが、いっこうによくならない」という人がいます。花粉症は、アレルギー性鼻炎の一種。花粉というアレルゲンに反応して起こります。薬は、抗アレルギー薬などが使われます。

このかたが、もしも副鼻腔炎だったら? 副鼻腔炎では、副鼻腔に炎症が起こっています。その炎症を抑えるには、抗アレルギー薬ではなく、抗生剤や抗炎症剤が必要。つまり、使うべき薬が合っていないのですね。だから、この人は、花粉症の薬をいくら飲んでもよくならないのです。


ケース2「カゼ ➡ 実は、副鼻腔炎」

カゼだと思って、市販のカゼ薬を飲み続けているのに、鼻づまりが治らないという人も多いでしょう。同じような人が内科に通って、いわゆるカゼの諸症状を軽減する投薬を受けているかもしれません。

しかし、カゼ自体は治ったのに、まだ鼻がグズグズしている。のども異物感がある。2週間以上たっても、この状態が続いているなら、カゼがきっかけとなって、引き起こされた副鼻腔炎が慢性化しつつあるかもしれないのです。

慢性化した場合、当然、それなりの治療をしないと、よくなりません。治りが悪いということで、耳鼻科で診察してみると、実は、違う病気だったということが少なからずあります。


ケース3「アレルギー性鼻炎 ➡ 実は、加齢性鼻炎/血管運動性鼻炎」

困ったことに、耳鼻科に通っていても、正しく診断がなされないケースもあります。

鼻水がひどく出るので、アレルギー性鼻炎の診断を受け、抗アレルギー剤を処方されていた、ある高齢の男性は、薬を飲んでもよくなりませんでした。

実は、この人の症状は、加齢で起こる加齢性鼻炎によるもの。加齢性鼻炎は、花粉症と似た症状があり、水っぽい鼻水がたくさん出ます(花粉症も全く同様の症状)。

ですから、この男性が、問診時に、自分のほかの症状(どういうときに鼻水が出るかなど)を詳しく話さないと、忙しく、時間に追われている耳鼻科医は花粉症と診断してしまうリスクがあります。抗アレルギー薬を飲んでも、加齢性鼻炎はよくなりません。

加齢性鼻炎とほぼ同じ症状を呈する病気に、血管運動性鼻炎(自律神経の不調によって起こる)があります。血管運動性鼻炎も、また、同じような水っぽい鼻水が大量に出ます。このため、しばしば、アレルギー性鼻炎と間違われます。


ケース4「原因不明の体の不調 ➡ 実は、慢性上咽頭炎・見逃されやすい」

鼻の奥の突き当たりに上咽頭という場所があります。上咽頭に慢性的な炎症が起こるのが、慢性上咽頭炎。慢性上咽頭炎の場合、鼻づまりはたいてい軽症。

しかし、鼻水がのどの奥に垂れる後鼻漏や、のどの違和感、長引くセキなどを誘発します。それだけではなく、原因不明とされてきた、さまざまな体の不調を引き起こしていることがわかってきています。

そうした観点を踏まえて、この病気に注目していないと、しばしば診察でも見落とされてしまいます。見落とされ、治療がなされなければ、当然ながら、鼻・のどの症状も治りません。


このように、鼻づまりをはじめとする鼻の疾患では、思い込みや諸般の事情から、正しい診断がなされていないことがしばしば起こるのです。

当然ですが、病名が確定し、原因が突き止められていないと、適切な治療、正しい手当てをするスタートラインに立てません

これでは、つらい症状はなかなかよくなりません。

市販薬で症状が少し楽になったので、放置してしまった。実は副鼻腔炎だった」という人もいます。市販薬で少し効果があったことが、受診や発見を遅らせてしまうこともあるのです。

また、「内科の薬で少し症状が改善したから、耳鼻科に行くのが遅くなった。実は、副鼻腔炎で鼻ポリープがあった」という人もいます。

このままポリープをほうっておけば、ポリープがふえて鼻呼吸もできなくなり、日常生活にも大きな支障をきたすようになるリスクもあります。そのほか、続きの記事で詳述しますが、ガンの可能性もあるので、注意が必要です。

▶あなたの鼻詰まりの原因はコレでわかる


要するに、治すためには、正しく病気を突き止めることが肝心。こうした、ごくごくあたりまえの結論に、私たちはたどりつくことになります。

治せない&治りにくい病気がいろいろある

第2の理由は、「原因疾患が正しく突き止められているのに、その病気自体がなかなか治らない」というケース。
代表的な例をいくつか挙げておきましょう。


ケース5「アレルギー性鼻炎 ➡ そもそも病気ではない」

アレルギー反応というのは、体の正しい防御機構であって、そもそも病気ではありません。問題は、その反応が過剰なだけ。そのため、かえって抑えることが難しいのです。

花粉症などは、なかには自然に治るかたがいらっしゃいますが、それは、やはり、少数。多くのかたが長年にわたって、つきあい続けることになります。


ケース6「加齢性鼻炎 ➡ そもそも加齢現象にすぎない」

加齢性鼻炎は、加齢によって起こります。つまり、さまざまな加齢的変化の結果として症状が起こっています。誰しも年を取っていくわけですから、それは自然現象です。

自然現象として生じている症状を、「治す」というのはなかなか難しいということになります。


ケース7「慢性副鼻腔炎 ➡ 重症化すると、治りにくい」

副鼻腔炎には、急性と慢性があります。3ヵ月以上、症状が続くのが慢性副鼻腔炎と定義されています。

薬や内視鏡手術の発達によって、慢性副鼻腔炎を重症化させずに治せることがふえてきました。しかし、残念ながら、すべての人が治るとは限りません。

病院に行かず、ガマンしていたため、知らず知らずのうちに慢性化・重症化してしまっている人もいます。慢性化・重症化した副鼻腔炎は、なかなか治りにくいのは事実です。


ケース8「好酸球性副鼻腔炎 ➡ 指定難病でもあり、治りにくい」

好酸球性副鼻腔炎は、原因不明の疾患で、悪くなると、治りにくくなります。難病指定もされています。しかも、正しい治療が確立しておらず、これという決め手になる治療法がないため、なかなかよくなりません。


このように病名が正しく突き止められても、なお、治りにくい疾患があります。では、そういう疾患にかかっていることがわかったとき、どうしたらいいでしょうか。

治りにくいせよ、やはり、治そうとすることが重要です。また、それほど深刻ではない症状、例えば、日々鼻がつまって、なんとなく不快、というようなケースも、できれば治しておくことを、耳鼻咽喉科の医師としてはお勧めしたいと思います。

治さないと、どんなよくないことがあるのか、それについても解説しましょう。

口呼吸は何がいけないのか

鼻づまりをほうっておくと、いろいろな悪影響が心身へ波及していきます。その悪影響は、2つのポイントにまとめることができます。

鼻づまりの2つの悪影響
人間にとって基本の鼻呼吸ができなくなる
鼻づまりを引き起こす疾患自体の悪化が、より深刻な状況をもたらす



私たちの鼻の基本的な機能を確認しておきましょう。

鼻は、においを感じ取ります。鼻腔は、そこを通る冷たく乾いた空気を、ほどよい温度と湿度に変え、加温・加湿機能を果たしています。また、鼻毛や、鼻腔の繊毛が、ちりやほこり、細菌やウイルスなどを絡め取り、異物除去の機能を果たしています。

くしゃみや鼻水を出すのも、鼻の役割の1つです。くしゃみは、異物や化学物質を激しい呼気とともに体外に排出する、生体防御反応なのです。

このように、
においを感じる
空気を加温・加湿する
異物を除去する
生体防御反応
これらが、皆、鼻の基本的な働きということになります。

鼻づまりになって、鼻呼吸ができなくなり、しかたなく口呼吸をすることになると、これら、本来の鼻の機能が使われないことになります。

においを感じにくくなりますし、冷たく、乾いた空気が口を通じてそのまま肺へ入り、肺の負担となります。細菌やウイルス、化学物質なども、より入り込みやすくなります。

さらに、口呼吸を続けることで、口内環境が悪化します。

虫歯や歯周病が起こりやすくなり、口内が乾燥することで、その点からも、カゼなどに感染しやすくなります。

ここではこれ以上立ち入りませんが、ほかにも口呼吸の弊害はいろいろあります。人間にとって基本的な鼻呼吸ができなくなると、普通に健康であることが脅かされるといってもいいでしょう。

原因疾患が悪化すると、何が怖いのか

鼻づまりの原因疾患をほうっておくと、その病気が悪化していきます。それが、より深刻な事態を引き起こします。
次に、できれば避けたい代表的なケースを挙げておきましょう。


アレルギー性鼻炎 ➡ 気管支ぜんそく

アレルギーマーチ」という考え方があります。乳幼児期のアトピー性皮膚炎に始まり、食物アレルギー、気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎と、次々に、年齢とともにアレルギー疾患が出現してくる現象です。

近年、小児のアレルギー疾患が増加しているところから、このアレルギーマーチの発症を予防することが重要と考えられるようになっています。

これは、子供ばかりではなく、大人の場合も当てはまります。

アレルギー性鼻炎は、しばしば気管支ぜんそくを合併します。その合併率は、小児で約5割、成人で約6割とされています。したがって、アレルギー性鼻炎・花粉症を治療する1つの目的は、その後の気管支ぜんそくを発症させないことなのです。

気管支ぜんそくは、空気の通り道である気道に慢性的な炎症が起こる病気。気道が炎症を起こすと、わずかな刺激でも気道が狭くなり、ゼーゼー、ヒューヒューと呼吸音のする喘鳴、呼吸困難、セキなどの発作が起こります。

ぜんそくといえば、子供の病気というイメージがあるかもしれませんが、実は、大人にも多く、特に60~70代の人に多く見られます。高齢者のぜんそくは特に重症化しやすいので、併発させないように警戒しなければなりません。


好酸球性副鼻腔炎 ➡ 気管支ぜんそく

副鼻腔炎の中でも、最もやっかいな病気の1つに、好酸球性副鼻腔炎があります。

の好酸球性副鼻腔炎も、また、気管支ぜんそくと深い関係があり、患者さんの約3割がぜんそくを併発しているとされています。好酸球性副鼻腔炎自体、治しにくい疾患ですが、ぜんそくを併発させないためにも、根気よく治療を行う必要があるのです。


鼻づまり ➡ 睡眠時無呼吸症候群

鼻づまりだけが原因ではありませんが、最近、よく話題になる「睡眠時無呼吸症候群」も、鼻づまりと関係する病気です。

鼻がつまりぎみの場合、どうしても口呼吸が多くなるため、いびきをかきやすくなります。それが、寝ているときに呼吸が止まるといった症状につながっていきます。睡眠中、平均して1時間に5回以上、それぞれ10秒以上呼吸が止まる場合は、この症候群の可能性があるとされています。

睡眠時無呼吸症候群は、単に呼吸が止まるだけの病気ではありません。睡眠時無呼吸症候群があるだけで高血圧症、脳卒中、狭心症、心筋梗塞など、循環器病を合併するリスクが高まることがわかっています。

ですから、この点からも、睡眠時無呼吸につながる口呼吸は治したいということになります。


慢性副鼻腔炎 ➡ 周辺組織への合併症

慢性副鼻腔炎が悪化し、日常生活に支障をきたすようになれば、鼻づまりだけでなく、さまざまな負担を強いられることになります。

副鼻腔炎によって起こる後鼻漏(鼻水がのどに垂れる症状)は、セキが出たり、のどに違和感を生じさせます。この後鼻漏によって、寝つきが悪くなったり、安眠できずに睡眠障害を発症する人もいます。

副鼻腔の炎症が悪化すれば、発熱や頭痛、歯痛などの症状も現れてきます。

いろいろな症状が現れてくれば、それだけでまいってしまいますが、さらに、周辺組織への合併症を引き起こすこともあります。副鼻腔は、薄い骨だけで、脳や目と隣接しているため、頭蓋内で、脳腫瘍や髄膜炎、目では、視神経炎などによる視覚障害などを引き起こすことがあります。


慢性上咽頭炎 ➡ 自律神経失調症、IgA腎症など、多様な症状・疾患

のどの奥の突き当たりに位置するのが、上咽頭。ここに炎症が起こるのが、上咽頭炎です。この病気が慢性化すると、炎症性物質が血管を通じて、全身に飛び火し、遠隔部位にさまざまな症状・疾患を引き起こすことがわかってきました。

この現象を、「{bold}}病巣感染{bold:end」といいます。

病巣感染によって、IgA腎症、ネフローゼ症候群、掌蹠嚢疱症、アトピー性皮膚炎などにもつながっていくと指摘されています。

また、慢性上咽頭炎があると、自律神経も乱れるため、多様な不定愁訴が起こってきます。


もちろん、事態が深刻化する前に、鼻づまりの原因疾患を悪化させず早めに治したいと、誰もが考えています。では、そのために、どうすればよいでしょうか。

かんたんな結論

答えは、とても簡単です。

鼻づまりを治すためにどうすればよいか
鼻づまりの原因(疾患)を突き止める
原因に応じた治療・セルフケアを行う


まずは、原因を突き止めましょう。お話ししたとおり、たかが鼻づまりとバカにできません。鼻づまりを引き起こす病気はいろいろあり、診断の間違いが起こりやすいのです。

続きの記事に、「鼻づまりの原因・発見チャート」をつけました。ぜひチェックシートを試し、自分の症状がどの病気に該当するか、見当をつけてみてください。

そして、少なくとも一度は、耳鼻咽喉科などの専門医の診察を受けましょう。

正しい診断がつくと、まだ何もしなくても、あなたは、快癒の方向へと1歩も、2歩も、前進したことになります

私自身の臨床の経験からいえば、患者さんに、「あなたは、これこれこういう病気ですよ」と診断名を告げると、なんの治療をしていなくとも、患者さんはほっとして、明るい顔つきになり、それだけで少しよくなることが多いのです。

というのも、病名が定まっていない患者さんというのは、心理的には、闇の中に置かれたままの状態であるからです。

特に心配性な人にとっては、病名が決まらなければ、「私はいったいどんな病気なのだろう?」「ひょっとしたら、すごく悪い病気なのかもしれない」「このままずっとツライ状態が続くのかもしれない」「原因がわからなかったら、ちゃんと治療もできない。どうしたらいいだろう?」など、心配の種が尽きません。

ですから、病名が決まり、治療方針が定まるなら、それだけでも朗報にちがいなく、心身によい影響を及ぼすのです。

ともあれ、自分の鼻づまりの原因疾患がわかったら、それに応じた治療やセルフケアに進んでいきましょう。

すぐに病院に行くほうがよいのは、どんなとき?

ちなみに、直ちに診てもらったほうがよいのは、どんなときでしょうか。
いくつか挙げてみましょう。

これがあったら病院へ!
1ヵ月以上、調子が悪い(子供さんがずっと調子が悪いときも含む)
薬(市販薬や内科の薬)を飲んでも、効果がない
痛みがある、出血がある
副鼻腔炎の手術をしているのに、また、鼻づまりがぶり返してきた
いびきが大きいとき


第1に、「経過が長いとき」。
日数は厳密に決められませんが、いつもは悪くないかたが、1ヵ月もずっと調子が悪いとなれば、何か問題が潜んでいると考えるべきでしょう。

第2が、「薬を飲んでも、効果がないとき」。
鼻炎だと思って、市販の鼻炎薬を飲んでいても、治りにくければ、ほかの病気を考える必要が出てきます。これは、市販薬だけでなく、内科など、耳鼻科以外の科で処方された鼻の薬であっても当てはまります。

もしも薬を飲んでも、ほとんど効果がない場合、少なくとも一度は耳鼻科で診察を受けることをお勧めします。

第3が、「痛みがあったり、出血があったりするとき」。
腫瘍など、怖い病気を考える必要があります。ただ、急性副鼻腔炎などでも、けっこう痛みが出ることがありますから、痛みがある=腫瘍、ではありません。

第4に、「過去に、副鼻腔炎の手術をしているのに、また鼻づまりがあるとき」。
いろんな病気の再発の可能性がありますから、耳鼻科で再度チェックしましょう。

第5に、「いびきが大きいとき」。
睡眠時無呼吸症候群を考える必要があります。無呼吸の症状がしっかり出ている場合には、診察が必要でしょう。

ほかに、「においがしないとき」。
年齢にもよりますが、アルツハイマー型認知症の初期症状として、嗅覚低下が見られる場合があります。特に50~60歳以上のかたは、早めに耳鼻科に行って、鼻に何か問題がないかを診てもらうと安心です。

お子さんが年じゅう調子が悪い場合も早めに一度、耳鼻咽喉科か、小児科で診てもらってください。アデノイドや、扁桃の手術が必要な場合があります。


続いて、鼻づまりの原因・発見チャートへと進みましょう。

▶あなたの鼻詰まりの原因はコレでわかる

おすすめの本

なお、本稿は『慢性副鼻腔炎を自分で治す』(マキノ出版)から一部を抜粋・加筆して掲載しています。詳細は下記のリンクよりご覧ください。

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