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【メニエール病のめまい】原因は自律神経の乱れの可能性 改善には「呼吸法」が効果

【メニエール病のめまい】原因は自律神経の乱れの可能性 改善には「呼吸法」が効果

メニエール病の人は自律神経失調症も併発している場合が少なくありません。腹式呼吸が身につけば、ストレスなどで過剰になりがちな交感神経の働きが抑えられ、自律神経のバランスが整います。【解説】石井正則(JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科診療部長 )

解説者のプロフィール

石井正則(いしい・まさのり)
JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科診療部長 )1984年、東京慈恵会医科大学大学院修了。2000年より同大学准教授。現在はJCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科診療部長として耳鼻咽喉科関連の診察に当たるとともに、スタジオ・ヨギー公認ヨガインストラクターとしても活動中。新刊に『耳鳴りがスッキリする呼吸がわかった』(マキノ出版)がある。
▼JCHO東京新宿メディカルセンター
▼専門分野と研究論文

自己判断の患者の9割は違う病気

めまいの原因は耳や脳の病気などさまざまです。このうち脳の病気を除くと、めまいの原因となる病気の60%以上は良性発作性頭位めまい症、メニエール病、前庭神経炎で占められるといわれています。

この三つの病気は、いずれも強いストレスや疲労、睡眠不足などからくる自律神経のバランスの乱れがかかわっていると、私は考えています。

特に深い関与が考えられるのがメニエール病です。

メニエール病とは、ある日突然グルグル回る回転性の激しいめまいが起こり、吐き気や冷や汗、嘔吐などの症状を伴います。女性にやや多く、発症年齢のピークは30代後半~50代後半といわれています。

めまいや耳鳴りが起こるとメニエール病を疑う人が多いようですが、この病気を自己判断して受診するめまいの患者さんのうち、約9割はメニエール病ではありません。残りの約1割の人だけがメニエール病と診断されています。

ですから、実際にはそれほど多い病気ではありません。ただ、症状が非常につらく、悩みが深い病気といえるでしょう。

メニエール病の患者は呼吸が浅い

長年、メニエール病をはじめとするめまいの患者さんと接するうちに、私は興味深い点に気付きました。患者さんの多くが、肩と胸を上下させる浅い胸式呼吸をしていたのです。

野生のゴリラは、敵と遭遇すると胸を広げてドンドンとたたき、威嚇します。このときのゴリラは強いストレスと緊張を感じており、体が上下に揺れる浅い胸式呼吸になっています。

人間とゴリラを一緒にするのは乱暴かもしれませんが、浅い胸式呼吸の患者さんも強いストレスを感じているようです。

実際に患者さんを問診すると、几帳面で真面目な人、責任感の強い人が多いのに気付きます。そうした気質や環境が強いストレスを生み、自律神経のバランスを乱しているのでしょう。

事実、メニエール病の人は自律神経失調症も併発している場合が少なくありません

そこで私は、治療と並行して患者さんにストレスや緊張を和らげる腹式呼吸を指導してみました。すると、多くの患者さんに改善傾向が見られたのです。

Aさん(20代女性)は、職場で大きな仕事を任されました。しかし、仕事がうまくいかず、眠れない日が続きました。そして、グルグルと回るめまいと耳鳴りを伴うメニエール病を発症したのです。

初診時のAさんも、肩と胸が上下に動く浅い胸式呼吸でした。そこで、薬物療法と並行して、呼吸法の指導をしました。Aさんは3ヵ月ほどで腹式呼吸を身に付け、それと同時に、めまいも落ち着きました。また、仕事の緊張も腹式呼吸で解消できると喜んでいました。

めまいの発作前は交感神経が緊張している

私はこれまでに数回、メニエール病のめまい発作を起こす少し前の患者さんの、自律神経と脳波を測定できました。

発作直前に測定できたのは偶然ですが、患者さんはみな、交感神経が異常に活性化していました。目を閉じた安静状態にもかかわらず、脳波は興奮状態を示すβ波が多く、リラックス時に出るα波やθ波が少なかったのです。

この測定結果からも、メニエール病によるめまいは、自律神経のバランスが深くかかわっていると推察できます

肩や胸を上下させる浅い胸式呼吸を、ゆっくりと吐く腹式呼吸に変えるだけで、自律神経のバランスはある程度整います。

腹式呼吸が身につけば、ストレスなどで過剰になりがちな交感神経の働きが抑えられ、自律神経のバランスが整います。ただ、呼吸を変えるのは容易ではありません。

まずは最低でも1日1回、12週間(3ヵ月)以上続けてください。寝る前や入浴後など決まった時間に行えば習慣にしやすいはずです。

ストレスや自律神経が特に深くかかわっているのはメニエール病ですが、そのほかのめまいも、ストレスが関係しています。良性発作性頭位めまい症は、ストレスで体が硬直してしまい、睡眠時の寝返りが減少していることも要因だといわれています。

また、前庭神経炎はウイルスによる感染症ですが、ストレスで免疫力が低下すれば、感染症にもかかりやすくなります。

いずれにしても、めまいで悩み、強いストレスの自覚があるかたは、一度この呼吸法を取り入れてみてください。

ただし、腹式呼吸を身に付けても、ストレスの原因が解消しないかぎり、自律神経のバランスは完全には整いません。ストレスマネジメントも並行して行うようにしましょう。

ゆっくり吐く腹式呼吸で自律神経が整う

メニエール病のめまいを撃退する「呼吸法」のやり方

《腹式呼吸》
基本となる腹式呼吸の方法です。一見簡単そうに見えますが、おなかをふくらませる、へこませるのが難しい人もいます。じっくり取り組みましょう。

【コツと注意点】
おなかを締め付けない服装で行う。
口をしっかりと閉じ、息は鼻から吸って、鼻から吐く。
吸って吐いてを3分間行うのを1セットとし、1日1回行うようにする。ただし、日々取り入れることが大事なので、3分よりも短い時間でもOK。
最低でも1日1回、12週間続けてみる。

ステップ1
吐く時間=吸う時間

イスに深く腰掛けて、足を肩幅に開く。背もたれに背中をつけて、上体をまっすぐに伸ばす。ヘソの上に、両手の手のひらを軽くあてる。

おなかに空気を送るイメージでおなかをふくらませながら、鼻からゆっくりと息を吸う。

おなかの息を吐き切るイメージでおなかをへこませながら、②と同じ時間をかけて、鼻からゆっくりと息を吐く。
※吸って、吐いてを3分間続ける。


ステップ2
吐く時間を長くする(吸う時間の2倍)
ステップ1がスムーズにできるようになったら挑戦してください。

ステップ1と同様に息を吸ったら、吸う時間の倍の時間をかけてゆっくりと息を吐く。
※3~5分間続ける。


ステップ3
吐く時間を長くする(吸う時間の3倍)
ステップ2がスムーズにできるようになったら挑戦してください。

ステップ1と同様に息を吸ったら、吸う時間の3倍の時間をかけてゆっくりと息を吐く。
※3~5分間続ける。


《 クンバカ呼吸法》(3・3・6呼吸法)
クンバカとはサンスクリット語で「息を止める」という意味があります。緊張する場面で行えば、心が落ち着き、集中力がアップします。

【コツと注意点】
上記の腹式呼吸と同様、息は鼻から吸って、鼻から吐く。
息を止めるので、肺や心臓に持病がある人、血圧に問題のある人は事前に主治医にすること
吸って吐いてを3分間行うのを1セットとし、1日1回行うようにする。ただし、日々取り入れることが大事なので、3分よりも短い時間でもOK。
最低でも1日1回、12週間続けてみる。


【ここがポイント!】
息を吸う(3秒)→ 息を止める(3秒)→ 息を吐く(6秒)
※3分間続ける。

イスに深く腰掛けて、足を肩幅に開く。背もたれに背中をつけて、上体をまっすぐに伸ばす。ヘソの上に、両手の手のひらを軽く当てる。

おなかがふくらむのを意識しながら、3秒間かけて鼻からスーッと息を吸う。そのまま3秒間息を止める。

そのまま3秒間息を止める。

おなかをへこませながら、6秒間かけて鼻から長くゆっくりと息を吐く。
※吸って、息を止めて、吐いてを3分間続ける

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