MENU
「myhealth」は暮らしと健康に役立つ実用書を刊行する出版社、マイヘルス社が運営しています
【メニエール病】大半は良性発作性頭位めまい症 比較的容易に改善 おすすめは「速歩き」

【メニエール病】大半は良性発作性頭位めまい症 比較的容易に改善 おすすめは「速歩き」

メニエール病と診断され私のところへ来られる患者さんの大半は、メニエール病ではなく「良性発作性頭位めまい症」です。生活習慣を改めれば比較的容易に改善・治癒します。私は手段の一つとして「速歩き」をお勧めしています。【解説】高橋正紘(めまいメニエール病センター院長)

解説者のプロフィール

高橋正紘(たかはし・まさひろ)
めまいメニエール病センター院長。
慶應義塾大学医学部卒業、耳鼻咽喉科入局。慶應義塾大学医学部助教授、山口大学医学部教授、東海大学医学部教授を経て、2006年退職。めまいメニエール病センター開設。日本めまい平衡医学会理事長(H13-16年度)、日本めまい平衡医学会会長(H15年)、厚労省難治性疾患克服研究事業・前庭機能異常調査研究班主任(H14-16年度)。現在、日本めまい平衡医学会参与・顧問。
専門領域
臨床:めまいの診断治療、メニエール病の生活指導と有酸素運動による治療
研究:メニエール病の病因解明、動揺病、起立制御の仕組み、宇宙医学

必要のない薬を飲んでいる例がある!

めまいに苦しむ患者さんを専門に治療するために、私が「めまいメニエール病センター」を開設したのは、2006年のことです。以来、複数の病院を受診しても、めまいが改善しない患者さんが、たくさん来られるようになりました。

めまいについての悩みを抱えるかたに対して、私は速歩きをお勧めして、大きな改善効果を得ています。

その理由についてお話しする前に、「メニエール病」についてふれておきましょう。


実は、ほかの医療機関でメニエール病と診断され、私のところへ来られる患者さんの大半は、メニエール病ではありません。

メニエール病は、治りにくい原因不明の病気です。難聴、耳鳴り、耳閉感などの症状があり、さらに、めまいの発作が反復して起こっていると、たいていの耳鼻科では、メニエール病と診断します。

しかし、それは誤診です。メニエール病に似た症状を持つ、めまいの病気があるのです。


それが、「良性発作性頭位めまい症」です。良性発作性頭位めまい症とは、その名のとおり、頭の姿勢が変化すると発作的にめまいが起こる、良性のめまいの病気です。

この病気の患者さんの約半数は、難聴、耳鳴り、耳閉感などの聴覚症状を伴います。しかし、この病気に、聴覚の症状を伴うケースが多くあることは、耳鼻科の医師にはほとんど知られていません。

このため、めまいに加えて耳鳴りなどがあると、ほんとうは良性発作性頭位めまい症であるのに、メニエール病と誤診してしまうのです。


この誤診の結果、深刻な問題が生じます。

良性発作性頭位めまい症は、生活習慣によって起こる病気で、薬では治りません。実際は、良性発作性頭位めまい症であるにもかかわらず、メニエール病と誤診されてしまうと、メニエール病の治療薬やステロイド剤が投与されます。

これで、めまいがよくなるはずはありません。そのうえ、飲む必要のない薬を飲んでいるのですから、体にもよくないのです。

ある程度の速さでリズミカルに歩こう!

しかも、近年、良性発作性頭位めまい症は、大幅に増えているようです。

私の9年半の統計では、7751名のめまいの患者さんのうち、良性発作性頭位めまい症のかたは、なんと約74%を占めていました。これは、私のクリニックに限った話ではありません。大学病院や総合病院でも、めまいの患者さんのおよそ半数が、良性発作性頭位めまい症と報告されています。

良性発作性頭位めまい症は、かつては、高齢者の病気とされてきました。ところが現在では、若い人にも激増し、中高年や高齢者がまんべんなくこの病気にかかっています。

激増した原因はハッキリしています。良性発作性頭位めまい症は、「運動をしない」「同じ姿勢で眠る」「低い枕を使う」「デスクワークや前屈姿勢が多い」といった生活習慣によって引き起こされます。

現代では、多くのかたが運動不足です。しかも、一日中デスクワークでパソコンに向かい、通勤時や自宅でもスマホ三昧。こうした生活を続けている人が、次々とこの病気にかかっているのです。

ただ、良性発作性頭位めまい症は、生活習慣を改めれば、比較的容易に改善・治癒します

その生活改善の手段の一つとしてお勧めしているのが、速歩きなのです。私は、患者さんに朝と夕方、30分ずつの速歩きを勧めています。

人間の耳の前庭器という部位には、耳石器というセンサーがあって、体のバランスをつかさどっています。このセンサーである有毛細胞の上には、炭酸カルシウムの小さな結晶が敷き詰められています。これが白い石のように見えるので、耳石と呼ばれます。

古くなった耳石は、有毛細胞から離れ、器官内を浮遊します。通常は、この浮遊した耳石片は、耳の掃除細胞に回収されます。

しかし、例えば、低い枕で寝ていると、この浮遊した耳石が、隣り合う半規管に入り込んでしまいます。それが多くたまると、体を起こしたときなどに、たまった耳石が動き、めまいを引き起こすのです。

そこで、速歩きなどの運動をすれば、器官内が上下によく撹拌されます。その結果、掃除細胞から浮遊した耳石が回収されやすくなり、それがめまいの改善をもたらすのです。

撹拌効果を上げるためにも、ある程度の速さで、リズミカルに歩くほうがいいでしょう。

めまいで来院したかたに、速歩きなどの生活改善を実践してもらったところ、9割以上の人が、1ヵ月以内に症状が解消しています。こうしたデータからも、速歩きが非常に有効であることがわかります。

また、メニエール病と誤診されてやってきたかたでも、多くの場合、ほんとうは良性発作性頭位めまい症なのですから、速歩きを実行すれば、改善効果が期待できるでしょう。

速歩き以外では、「少し高い枕に替える」「寝る前にパソコン、スマホをしない」「デスクワークの合間に軽くジャンプや体操をする」などをお勧めしています。

めまいは、意外に簡単な方法で治るのです。

朝夕30分ずつ歩こう!

おすすめの本

めまい・メニエール病を自力で治す最強事典 (23人の医師、専門家が教える特効療法)

関連記事
メニエール病の人は自律神経失調症も併発している場合が少なくありません。腹式呼吸が身につけば、ストレスなどで過剰になりがちな交感神経の働きが抑えられ、自律神経のバランスが整います。【解説】石井正則(JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科診療部長 )
更新: 2020-04-17 06:30:00 公開: 2020-04-17 06:30:00
鼻づまりなどの鼻の症状を引き起こしている原因疾患を突き止め、それに対する適切な治療を行う必要があるのは、いうまでもありません。しかし、それに劣らず大切なのが、患者さんご自身が行うセルフケア(食事療法を含む)です。【解説】北西剛(きたにし耳鼻咽喉科院長)
更新: 2020-09-05 06:30:00 公開: 2020-09-05 06:30:00
加齢によって、鼻腔やのどの粘膜にも萎縮や機能低下が起こり、また、自律神経も乱れます。それらが引き金となり、水っぽい鼻水が流れ、鼻づまりも起こります。カゼのような悪寒や、セキ、くしゃみなどはありません。【解説】北西剛(きたにし耳鼻咽喉科院長)
更新: 2020-09-04 06:30:00 公開: 2020-09-04 06:30:00
上咽頭にはリンパ組織があり、たくさんの免疫細胞が待機しています。ここで侵入してきた病原体に応戦するのです。このため、もともと炎症の起こりやすい場所です。その炎症が慢性化した結果、慢性上咽頭炎となり、体に大きな悪影響を及ぼすようになります。【解説】北西剛(きたにし耳鼻咽喉科院長)
更新: 2020-09-03 06:30:00 公開: 2020-09-03 06:30:00
アレルギー性鼻炎とは、本来異物を体内に入れないための防御機構である、くしゃみ、鼻水、鼻づまりが病的、かつ過剰に起こる病気です。症状を発する時期によって、「通年性」と 「季節性」に分けられます。【解説】北西剛(きたにし耳鼻咽喉科院長)
更新: 2020-09-02 06:30:00 公開: 2020-09-02 06:30:00
以前は「蓄膿症」と呼ばれていましたが、現代でも副鼻腔炎は悩んでいる人の多い疾患です。最も一般的な原因が、カゼなどや細菌感染によって鼻腔に炎症が起こり、それが副鼻腔に広がっていくもの。その炎症がいつまでも治まらず、慢性化する場合もあります。【解説】北西剛(きたにし耳鼻咽喉科院長)
更新: 2020-09-01 06:30:00 公開: 2020-09-01 06:30:00

話題のキーワード

local_offerめまい