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【めまいの原因は運動不足】ふらつきの改善には足裏の刺激がおすすめ

【めまいの原因は運動不足】ふらつきの改善には足裏の刺激がおすすめ

グルグル回っているように感じる、船酔いのように頭がフラフラする、立ちくらみなど、めまいといっても症状はいろいろです。特に高齢者の場合、運動不足がめまいの原因になることが非常に多いのです。【解説】倉島一浩(山王病院耳鼻咽喉科副部長)

解説者のプロフィール

倉島一浩(くらしま・かずひろ)
山王病院耳鼻咽喉科副部長。1990年、慶應義塾大学医学部卒業。専門は神経耳科学。患者さんと1対1の人間どうしとして触れ合うことをモットーに診療に当たっている。国際医療福祉大学准教授。
▼山王病院耳鼻咽喉科
▼専門分野と研究論文

運動不足がめまいの原因になることが多い!

私の勤務する病院の耳鼻咽喉科には、めまいを訴える患者さんが毎日のようにいらっしゃいます。さらに、受診には至らないまでも、潜在的にめまいに悩む人は多いと思います。

一口にめまいといっても、症状はいろいろです。

大別すると、急に自分や周囲がグルグル回っているように感じる「回転性めまい」、頭がフラフラして船酔いのような感覚が起こる「浮動性めまい」、目や頭はしっかりしているのに歩くときにフラフラする「平衡障害」、一時的な脳の虚血による「立ちくらみ」などがあります。

原因もさまざまです。内耳の不具合だったり、脳神経の不調だったり、心臓や血圧など循環器系の異常だったり、精神的なことだったりと、実に多岐にわたります。当然、治療法や対処法も異なります。

ただ、急性期を除き、基本的に私は「めまいの多くは生活習慣病」と考えています。薬で治療すべき病気がある場合を除き、「投薬より生活習慣の改善」をモットーに、できるだけ体を動かすように指導しているのです。

一度めまいが起こると、治ったあとも「いつ、まためまいが起こるかわからない」という不安(予期不安)から引きこもりがちになります。運動を勧めても、「外出先でめまいが起こったら……」と腰が引けてしまうようです。

しかし、それは逆効果。再発の危険性が高まります。特に高齢者の場合、運動不足がめまいの原因になることが非常に多いのです。

詳しく説明しましょう。
体の平衡を保ち、まっすぐ立って歩けるのは、視覚(周囲の景色や動きを見る)、前庭覚(内耳にある三半規管や耳石器が頭の動きや傾きを感知する)、深部感覚(足の裏や筋肉、関節などからの情報。固有知覚ともいう)の三つの感覚のおかげです。

これらはすべて、加齢により減退します。また、それらを統合する脳の機能や、姿勢の維持に必要な全身の筋力も衰えます。ですから、ある意味、めまいを「年のせい」「老化現象」というのは間違いではないのです。

でも、それをいっては元も子もありません。運動といっても、特別なことをする必要はなく、歩くだけでじゅうぶんです。外に出て歩くことが、めまいだけでなく、全身の機能改善にもつながります。

薬や安静がほんとうに必要なめまいは、実はあまり多くないのです。

すでに抗めまい薬を処方されている患者さんにも、症状がひどいときだけ飲むように指導するなど、薬を減らす方向で治療に当たっています。実際、減薬と運動で症状が改善する患者さんは多く、悪くなった人を私はほとんど知りません。

めまいのなかには、耳鳴りや難聴を伴うものもあります。このような場合も、急性期を過ぎたら、できるだけ体を動かしたほうが早く快方に向かいます。

突発性難聴の急性期は、内耳の保護のため、大きな音も避けましょう

〈耳の構造〉

〈内耳の拡大図〉

「寝ながら何かをする」という習慣をやめよう

めまいのなかで最も患者数が多いのが、良性発作性頭位めまい症です。寝返りを打ったり、顔の向きを変えたりすると、視界がグルグル回ります。頭を動かすとめまいがするので、運動は避けたくなりますが、このめまいにこそ運動が有効です。

良性発作性頭位めまい症は、内耳にある耳石器(頭の動きや傾き、加速度を感知する器官)にくっついている耳石(小さな結晶)がはがれて、三半規管の中に入り込むことで起こると考えられています。

はがれた耳石は、頭を動かせば、三半規管の外に出ます

ところが、安静にして頭を動かさないでいると、耳石が三半規管の中にとどまり、さらに、はがれた耳石が一ヵ所に集まって塊になり、より大きなめまいを起こします。

良性発作性頭位めまい症は、生活習慣を変えることで再発を防ぐことができます。

まず、「寝ながら何かをする」という習慣はやめましょう

例えば、「ソファに寝転がってテレビや雑誌を見る」「ベッドでスマートフォンを操作する」といった行為は、寝返りがなく、頭が長時間同じ向きになりがちです。こうした習慣を改めることで、めまいが解消する患者さんが多いのです。

また、朝、布団で目が覚めたら、すぐに体を起こすのではなく、ちょっとした動作をしてから起きるよう勧めています。左右に一往復寝返りを打ち、さらに、いったんうつぶせになってから起き上がるのです。

こうして頭の向きを変えることで、めまいが起こりにくくなります。

椎間板ヘルニアや糖尿病で、足の神経に障害が起こると、足の裏にしびれなどの感覚障害が生じます。それが原因でふらつく人も少なくありません。

そうした患者さんには、イスに座って足裏でゴルフボールを転がすリハビリを指導します。足裏の感覚を取り戻すことで、ふらつきを改善させるのです。

「立ちくらみがひどくて、外出が怖い」という人は、血流が悪いことが原因なので、これも安静は逆効果。できるだけ歩いて、下半身から上半身への血液を増やしてください。

「起床時に立ちくらみがする」という人は、布団の上であおむけになり、自転車をこぐように空中で足を動かし、足の血液を心臓に戻してから立ち上がるといいでしょう。

めまい・ふらつきを改善する体操

◎めまいに

目が覚めたら、すぐ起き上がらず、左右に一往復、寝返りを打つ。肩や腰が痛い場合は、首から上だけ横を向く。

最後にうつぶせになってから、起き上がる。


◎ふらつきに

イスに座って足の裏でゴルフボールを転がし、足の裏の感覚を取り戻す。


◎立ちくらみに

あおむけで自転車をこぐように空中で足を動かしてから、起き上がる。

なお、本稿は『耳鳴り・難聴・めまいを治す最強極意』(マキノ出版)から一部を抜粋・加筆して掲載しています。詳細は下記のリンクよりご覧ください。

▼耳鳴りの多くは薬が効きません。▼2018年10月、日本聴覚医学会が国内初の耳鳴り診療についてまとめた指針案のなかで、そう発表しています。▼カウンセリングをていねいにして、患者が耳鳴りとうまくつきあえるよう支援すること、その重要性を強調しているのです。▼本書は、耳鳴りをはじめ、難聴、めまいの特効セルフケアをまとめた一冊。▼医師や治療家直伝!自分で症状を和らげ、改善する方法の決定版です。

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